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当院のワクチン接種の考え方-猫ver.-

竹林賢作

竹林 賢作

今回は猫のワクチン接種について考えていきましょう。
犬と同様、当院ではWSAVAガイドラインに基づいたワクチネーションプログラムを勧めています。
このガイドラインはどなたでもご覧になれます。
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

この中から、ネコちゃんの飼い主さまに理解しておいていただきたい点をまとめました。

猫のワクチン

猫のワクチン分類の基本

コアワクチン
猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)、猫カリシウイルス、猫汎白血球減少症(パルボウイルス)

ノンコアワクチン
猫白血病ウイルス、猫クラミジア症、猫免疫不全ウイルス

コアワクチンは全ての動物に必要とされているものです。つまりコアワクチンの3種は全ての猫に接種することが勧められています。

一方でノンコアワクチンは生活環境に応じて接種を考慮するべきワクチンです。

 

ワクチンの種類と選択

3種→ ヘルペス、カリシ、パルボウイルス(コアワクチン)

4種→ 3種+猫白血病ウイルス(ノンコア)

5種→ 3種+猫白血病ウイルス(ノンコア)+猫クラミジア症(ノンコア)

FIVワクチン*→猫免疫不全ウイルス(ノンコア)

*FIVワクチンについては予防効果の問題もあり、当院では積極的にはすすめていません

上記が動物病院で接種することの多いワクチンです。

室内飼育の猫であれば、よほど多頭飼育でないかぎりは3種ワクチンで十分です。

お外に行く機会が多い猫、特に不特定多数の猫と喧嘩をしたり、接触する機会がある場合には、
ノンコアワクチンである猫白血病や猫クラミジアのワクチンを接種することがすすめられます。
(当院では猫の室内飼育を推奨しています)

また室内飼育であっても、猫白血病ウイルス陽性の猫と同居している場合には予防のメリットがあるといえます。

猫白血病ウイルスにすでに感染している場合には、無駄な接種となってしまうため、
4種、5種ワクチンを初めて接種する前には必ずウイルス検査を行いましょう。

どんなワクチンにも副反応のリスクはありますが、一般的には多くの種類が含まれるワクチンほど出やすい傾向にあるため、メリットとリスクを考慮し生活環境にあわせて必要なワクチンを選ぶことが大切です。

 

接種間隔について

WASAVAガイドラインによると、基本的にコアワクチンの3種(ヘルペス、カリシ、パルボ)は3年ごとの接種が推奨されています。

しかし一方で猫ヘルペスと猫カリシウイルスについての予防効果は十分な持続期間が得られないという記載もみられます。

そのため外出する猫ちゃん、不特定多数のネコと接する可能性がある場合、定期的にペットホテルを利用するなど感染リスクが高いと考えられる場合には1年ごとの接種がすすめられます。

家から出ない猫ちゃんは3年ごとの接種で問題ないでしょう。
ただし飼い主が外で猫を触った場合、手を介してウイルスを家に持ち込まないように十分に手洗いを行うことが大切です。

ノンコアワクチンが含まれている4種、5種ワクチンの接種間隔について、WSAVAは明確なエビデンスを示してはいませんが、やはり感染リスクが高いと判断される場合には毎年の接種をおすすめしています。

 

まとめ

外出する猫ちゃん→1年に1回、リスクにより5種ワクチンを選択する

ペットホテルを定期的に利用→3種ワクチンを1年に1回

完全に室内飼育→基本的には3種ワクチンを3年に1回OK。注意点として
・飼い主が外で他の猫を触ったら、十分に手洗いをしてから家に入る
・ペットホテルの利用が決まったら早めに追加の接種する(接種間隔が1年以上あいている場合)

 

最後に

不要なワクチンの接種回数をへらすことは、体への負担や副反応のリスクを下げるという目的ではとても大切なことです。

しかし逆に動物病院に連れてくる機会が減ってしまうことも問題です。

最低でも年に1回は動物病院に連れていき、体重測定や健康チェックなどを行いましょう。
日頃の気になることがあればなんでもご相談下さい。

竹林賢作

竹林 賢作

小さなころから生き物が好きで、動物博士になることが夢でした。動物図鑑に夢中になり、「動物奇想天外!」などのTV番組をかじりつくように見ていました。犬や猫に囲まれた思春期をすごし、大好きな動物のことをもっと勉強したい、病気の動物を助けたい、という思いで獣医大学へ憧れた獣医師になってもうすぐ9年、これからもペットとご家族の幸せのために努力していきたいと思います。