こんにちは!院長の竹林です。
早くも開院して二ヶ月がたち、スタッフを含めて新しい病院での仕事に少しづつ慣れてきました。
4月5月は狂犬病注射やフィラリア検査のため、普段あまり病院に行かないワンちゃんや飼い主様も動物病院に来院されることが多いかと思います。
フィラリア症はフィラリア(正式な名前は犬糸状虫)という寄生虫が心臓に寄生することによって発症する病気です。
フィラリアは蚊によって運ばれる感染症で、感染した動物の血を吸った蚊に刺されることで顕微鏡サイズの小さなフィラリアの幼虫が寄生します。
動物の体内で成長したフィラリア虫は血管から心臓の中にたどり着き、そこで成虫に成長します。
フィラリア症は”犬”糸状虫の名前の通り、犬に感染しやすい病気です。
昔はこの病気に感染しているワンちゃんが多くいましたが、最近では室内飼育が多くなってきたことと飼い主様の予防意識の向上により、かなり数が少なくなってきました。
しかし今でも予防がされていないワンちゃん(とくに保護犬など)ではかなりの確率でフィラリア症に感染していおり、依然としてしっかりと予防が必要な病気だといえます
実はこのフィラリア症は猫でも感染する病気です
そこで今回は猫の飼い主様にも知っておいていただきたいフィラリア症について、7つのポイントをご紹介します
①猫の感染は少ない?
フィラリア症は主に犬に感染する病気のため、以前は猫では心配しなくていい病気と思われてきました。
しかし実際に犬ほど多くはありませんが、猫でもフィラリア症と診断されるケースがあります。
さらに健康な猫ちゃんを検査してみたところ10頭に1頭がフィラリアの抗体(過去や現在にフィラリアに感染したことを示します)を持っていることがわかっており、注意が必要な病気です。
診断が難しい病気なこともあり、われわれ獣医師が見逃してしまっている部分も含めて実際にはもっと多くの猫に感染がみられているのかもしれません。
②感染したときの症状はさまざま
感染したフィラリアは動物の体内で成長し、最終的に心臓や肺への血管に住み着きます
猫ではフィラリアの住み着く場所や状態によって、咳をしたり、呼吸が苦しくなったりといった呼吸器の症状だけでなく、嘔吐や食欲がないなどの症状がみられることもあります
また猫で有名な「喘息」という呼吸が苦しくなる病気がありますが、この原因にもフィラリア症が関与している場合もあります。
さらに悪いことに突然死が引き起こされるケースもあるようで危険な病気のひとつです。
③診断・治療がむずかしい病気
猫のフィラリア症は診断が難しい病気です。
理由は上記のように呼吸器以外の症状が出ることもあって見逃されてしまうことがあげられます。
その他にも猫は本来の宿主ではないため感染しても少数の寄生にとどまることが多く、エコー検査や血液検査での診断がしづらいことが挙げられます
治療については呼吸状態の改善のためステロイドを使用するなど対症療法が中心になります。
肺にダメージをおってしまうとなかなか完治が難しく、生涯にわたり治療が必要なケースもあります。
④すべての猫ちゃんに予防がすすめられます
お外やベランダなどに出る子はもちろん、お外に出ないネコちゃんでも家に侵入してきた蚊に刺される可能性は十分にあります。
いままで家の中で蚊を見つけたことがあるご家庭では、しっかりと予防しましょう。
⑤毎月の予防が大切
猫のフィラリア症はお薬で予防することができます
予防期間は住んでいる地域によりますが、高松市の場合は5-12月が推奨されています。
この期間は予防薬を毎月一回投与することで、フィラリアの駆虫を行いましょう。
当院では飼育環境にあわせて二種類のお薬を用意しています。
いずれも背中に垂らすタイプのお薬で、お薬を飲むのが苦手なネコちゃんにも確実に投薬できるのがメリットです。
⑥生活スタイルでお薬を選びましょう
二種類の違いは予防(駆虫)できる感染症の種類です
レボリューション6%はフィラリアに加えてノミ、回虫、ミミヒゼンダニを、
ブロードラインはノミ、マダニと多くのお腹の寄生虫に効果があります。
お外に出かける猫ちゃんはマダニに対しても予防効果のあるブロードラインをお勧めします。
完全室内飼育の場合にはフィラリアとノミの予防がしっかりできれば十分ですので、薬剤成分がシンプルなレボリューション6%をお勧めしています。
いずれも猫ちゃんの体重に合わせて複数のサイズがあります。
⑦処方には獣医師の診察が必要です
フィラリアの予防薬は原則として動物病院での診察・処方が必要です。
当院では問診と体重測定、身体検査を行ってから予防薬を処方しています。
一緒にお薬の使い方もご説明しますので、お気軽にご相談ください
ワクチン接種に加えてもうひとつ、フィラリア症予防で安心健康に過ごせるように一緒に取り組みましょう!