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避妊・去勢手術のお話

竹林賢作

竹林 賢作

 

こんにちは!晴れたひ動物病院獣医師の竹林です。
今日は犬・猫の避妊手術(女の子)と去勢手術(男の子)について、
手術を行うべきか?どのタイミングで?と悩んでいる飼い主さま向けに
私達のできるアドバイスを伝えたいと思います。

避妊去勢手術のメリットは?

①将来の病気の予防

女の子の場合は子宮蓄膿症や乳腺がん、男の子の場合は前立腺肥大、
会陰ヘルニア(おしりの筋肉のすき間からお腹の臓器が出てしまう病気)など、
性ホルモンが関与するいくつかの病気を予防することが報告されています。
特に女の子は重大な病気のため、メリットが大きといえます。

②精神的なストレスの軽減

ペットである犬や猫は、私達と違い完全に自由に行動することはできません。
近所に異性がいると外に出たい、といったストレスを感じて食欲がなくなったり、
体調を崩してしまうケースもありました
猫の場合は家出をしてしまい、迷子になってしまうケースもあります。

③行動面のトラブル

多くの場合、生後6ヶ月を超えるあたりからオス猫はスプレー行動(しっぽを上げて壁におしっこをする)をするケースがあります。オス犬も足をあげておしっこをしたり、腰をふったりする行動が見られます。
これらの行動すべてが悪いわけではありませんが、人間と一緒に生活するうえで困ってしまうこともあります。
早期に手術を行うことで、習慣になる前に改善される場合があります。
ただしこれらのトラブルが全て解決するわけではありません。

当然ですが、他の犬猫と接触する機会がある場合には望まない妊娠をしてしまう(させてしまう)可能性があるため手術を行う必要があります。

デメリットについて

①手術や麻酔

全身麻酔をかけて手術で子宮卵巣(精巣)を提出します。決して難しい手術ではありませんが、
全身麻酔を含めてトラブルも時々報告されています。
また手術から数日は痛みが出たり、元気がないケースもあります。
当院ではきちんとした手術はもちろん、整体モニターを使用した全身のモニタリング、人工呼吸器による管理、
鎮痛剤の投与など、様々な方法で飼い主さまが安心して任せていただけるよう努力しています。

②体重管理

過去のデータでは避妊去勢手術を行った犬は、行わなかった犬に比べると20%ほどカロリー要求量がさがる、つまり太りやすくなることが報告されています。過度の肥満は将来的に関節疾患、膵炎、糖尿簿などのリスクにつながります。しかしこれれは適切な食事管理や運動で予防できます。

最適な手術のタイミングはそれぞれ、獣医師と相談しましょう!

早期の手術は骨や関節、尿道の発達に影響を与えるため、
当院では犬猫の避妊去勢手術は生後6ヶ月を超えてから行っています。
ただし大型犬の場合は小型犬に比べて体の成長がゆっくりなため、
生後8ヶ月齢以降に行うのが良いと考えています。

女の子の場合、タイミングが遅いと上記の乳腺がんに対する予防効果が低下ししまうため、
1歳くらいまで(犬の場合は2回目の発情前まで)に行うのがよいと考えています。

結局のところどうすればいいの?

猫(男の子)→スプレー行動が習慣になる前に実施がすすめられます

猫(女の子)→乳がんの発症リスクがあるため、早期の手術が勧められます

外猫→絶対に手術をしましょう!(当院では猫の室内飼育を推奨しています)

犬(女の子)→将来的に子宮蓄膿症によるトラブルがみられる可能性が高いため、手術をおすすめします。2回目の発情までに実施するようにしましょう

犬(男の子)→行動や性格に困らないか、他の異性に接触する可能性がないかどうかを考え実施を決めましょう

 

以上はあくまでも一般的なアドバイスです。最終的には飼い主さまの考え方にもよりますし、その子それぞれの性格や飼育環境によっても異なります。迷ったら獣医師と相談して一緒に考えていきましょう。

竹林賢作

竹林 賢作

小さなころから生き物が好きで、動物博士になることが夢でした。動物図鑑に夢中になり、「動物奇想天外!」などのTV番組をかじりつくように見ていました。犬や猫に囲まれた思春期をすごし、大好きな動物のことをもっと勉強したい、病気の動物を助けたい、という思いで獣医大学へ憧れた獣医師になってもうすぐ9年、これからもペットとご家族の幸せのために努力していきたいと思います。